先日、フリーウェイトのエリアで筋トレをしていたら、先ほど、(筋トレを)終えたばかりの20代ぐらいの青年がこちらの方に戻ってきた。
ハーフパンツのポケットをまさぐりながら、周辺を見回している。
青年の焦っている顔を見て、すぐに察しがついた。
どうやら、どこかでロッカーのカギを落としたようだ。
何となく僕もつられて、周辺を見回すが、カギらしきものはない。
青年もここにはなさそうだと観念して、他の場所へと消えていった。
青年の胸中はいかばかりか。
カギや財布などの貴重品をなくした時のあの焦りの感情は僕にも痛いほどわかる。
昨年、財布を路上で落とした時、大袈裟だけど、この世の不幸をすべて背負わされた感覚に陥った。
背中から嫌な汗が出たことを今でも感覚として覚えている。
ああいう感覚は二度と味わいたくないと思ったものだ。
と、いろいろと思い返していたら、僕の後方で、「ありがとうございました」と言う声が聞こえてきた。
振り返ると、例の青年が女性に礼を述べている。
どうやら、カギが見つかったらしい。
女性が床に落ちていたカギを拾ってあげてたようだ。
ひとまず見つかって良かった。
僕がそうだったように、青年もきっと、今回のことがいい教訓になったに違いない。