図書館で予約していた本が用意できたとの連絡(メール)が来たので、バイクで受け取りに行くことにした。
図書館へ向かう道すがら、横断歩道の近くで小学生の男の子がウロウロしていたんだけれど、最初、道を横切りたいのか、それとも道なりに歩いているのか、判断がつかず、とりあえず、バイクを横断歩道の前で減速させて、一時停止した。
そしたら、男の子が恐縮した顔を僕の方に向けて、
「渡ってもいいですか」
と聞いてくるではないか。
バイクに乗り始めて、もう何十年にもなるけれど、「渡ってもいいですか」と聞かれたのは初めてだったので少し戸惑ってしまった。
けれど、もちろん、僕に断る理由なんてないから、大きく頷いた。
そして、男の子は軽く会釈をして、小走りで横断歩道を渡っていった。
「何としっかりした男の子なんだろう」
何だかこちらの方が恐縮してしまった。
ウロウロしていたのも、なかなか車が停まってくれなくて、困っていたのかも知れない。
残念ながら、彼とは二度と会うことはないと思うし、自分がこんなこと言うのは大変おこがましいけれど、きっと素晴らしい大人に育っていくに違いない。