ジムの更衣室も、日曜日の朝だけは小学生のスイミングスクールの終了時間帯と重なっているため、かなりの人数でごった返す。
その上、今どきの小学生は元気いっぱいに友達と騒ぐばかりで、なかなか着替えが終わらない。
それで、担当コーチのジムスタッフが早く着替えるようにと促すのだけれど、なかなか言うことを聞いてくれない。
ほとほと困り果てた表情を見せるジムスタッフを横目に僕はさっさと浴場へ駆け込むのだけれど、その前にトレーニングルームから更衣室へたどり着くまでに異様な光景を目の当たりにする。
そんなに広くもない廊下のあちらこちらで小学生たちの保護者(父兄)が誰一人喋らずにスマホを片手に画面に没頭している。
父兄同士だったら、何かしらの会話をしている人たちがいても良さそうなのに、全員がスマホにのめり込んでいる。
まあ、時節柄、おおっぴらに会話できないことは承知しているけれど、それでも、その光景が何だかすごく薄気味悪かった。
何か、どの人たちも感情がなく、冷めているように見えてしまったと言えば良いのだろうか。
もちろん、僕も、スマホは使うのだけれど、改めて客観的に眺めるとやはり異様に映ってしまった。
恐らく、ひとり、ふたりと言う状況であれば、特に気にならなかったと思うけれど、人数で言えば30人ほどいたから、そう見えてしまったのかも知れない。
いずれにしろ、<集団>と言う恐ろしさを垣間見たような気がした。