Life is very short

人生なんてあっちゅうま

未解決事件 グリコ・森永事件捜査員300人の証言

 

先日、観た映画「罪の声」に感化され、本書を手に取った。

 

当時、公にされてこなかった新たな事実が、元捜査員の口から次々と明らかにされていく。

 

元捜査員の口から一様に語られるのは、当該事件は兵庫、大阪、滋賀と広域に渡って繰り広げられたため、各々の所轄の警察と上手く連携が取れず(取らせてもらえず)、それが犯人を取り逃がした最大の原因であったと。

 

当時は当該地域で発生した事件は自分のところ(当該警察)で解決をしたいという、<縄張り意識>みたいなものがあって、自分たちが持っている情報を他県の警察と共有するという意識が非常に薄かった。

 

また、自分の目の前に不審者(キツネ目の男)がいるにもかかわらず、上層部の指示により、職務質問や尾行もさせてもらえず、今もなお、後悔の念を抱き続ける元捜査員もいた。

 

上層部としては犯人グループの一網打尽を目指していたゆえの判断であったが、現場の捜査員にとっては、さぞかし歯痒い思いだったはずである。

 

本書は500ページほどあるのだけれど、知られざる事実に驚嘆しながら、ページを捲る手が止まらず、一気に読んでしまった。

 

本事件は自分がリアルタイムで見た(体験した)事件であり、それゆえ、多少思い入れもあって、当時のことを思い出しながら、事件のあらましやそれに付随する出来事、一連の流れが再確認できて、非常に良かった。

 

ただ、気になったのは、「罪の声」の題材にもなった子供たちの行方。

 

罪の意識を背負いながら、今もどこかで生きているんだろうか。

 

いずれにしろ、すべては闇に包まれてしまった。