三島由紀夫が東大全共闘の待つ東大駒場キャンパス(900番教室)に単独で乗り込み、彼らと討論バトルを繰り広げるドキュメンタリー映画。
当時の映像と三島と所縁の深かった人たちの談話を交えながら、ストーリーは進んでゆく。
討論で飛び交う言葉はニュアンス的には何となくわかるものの、あまりにも抽象的、観念的に終始しているため、学が浅い自分にはほとんどチンプンカンプンであった。
しかし、言っていることを完全には理解できなくとも、三島、全共闘ともに、言葉の熱量、応酬が凄まじいから、見応えは十分だ。
お互いに「完膚なきまでに捻じ伏せてやる」という剣呑な雰囲気はなく、少なくとも三島の方は相手の主張も理解しつつ、相手に優しくも、だけど強く語りかけるように持論を述べる姿はとても好感が持てた。
また、三島の笑顔も印象的だ。
この討論会のおよそ1年後に三島は自決するわけだけど、討論の中で、自分の死を示唆することを述べていたことがとても興味深い。
この頃には既に、ある種の決意が心の中に宿っていたのであろう。
叶うならば、タイムスリップして、現場の空気を直に感じてみたい。
そう思わせてくれる作品だ。