無気力な中学教師の男が原爆を作って、政府を相手に次々と壮大な要求をしていくお話。
この映画の主人公である城戸誠(沢田研二)が風船ガムを膨らませ、双眼鏡から原子力発電所をロングショットで覗き込んでいる冒頭シーンの姿はこれからとてつもないことをやらかす前兆を感じさせ、とてもワクワクする。
また、誠が原子力発電所からプルトニウムを盗み出すシーンは、まるでアニメの<ルパン三世>のようで、実に痛快だ。
警察からの追手をかわしながら、サバンナRX-7で首都高を疾走する誠と零子(池上季実子)。
上空からのショットと相まって劇中で一番好きなシーンだ。
随所にバックで流れる音楽もシーンと見事にマッチしており、映画全体を引き締めてくれている。
そして、この映画の一番のハイライトは誠と山下(菅原文太)が科学技術館の屋上で対峙するシーン。
誠に拳銃で何度撃たれても、ゾンビのごとく立ち上がる菅原文太の演技は必見。
山下が最後の力を振り絞って、「行くぞー!9番」とドスの利いた声で誠を道連れに屋上から転落するシーンも印象深い。
個人的には、これまで見てきた映画の中で恐らく5本の指に入るぐらいのエンターテインメントにあふれた傑作だ。