ジムのロッカー室の一角に人が一人分ギリギリ通れるかどうかと言う隙間がある。
ロッカーと壁に挟まれた空間(デッドスペース)と言ったら、わかりやすいだろうか。
その隙間を見るたびに、いつも突拍子もない想像をしてしまう。
もし、このロッカー室が海の底に沈んで、脱出口がその隙間だけであったら、僕は抜け出して、生還することができるのかということを。
ぱっと見は、通り抜けられるような気もするし、無理っぽいような気もする。
何とも微妙な間隔なのだ。
小さい子供だったら、恐らく余裕で通れるはずと思うけれど、大人であれば、その人の体型にもよるだろうか。
じゃあ、通れるかどうか、実際に試せばいいとは思うのだけれど、いざ通ろうとして、途中で引っかかって身動きが取れなくなってしまうのも嫌だし、その現場を他の人に見られてしまうのも恥ずかしい。
やっぱり、想像の域だけで、通れるのだろうか、それとも通れないのだろうかと考えているのがきっと楽しいのかも知れない。
たかが、ロッカーの隙間だけで、こんなくだらないことを考えているのは、世界で僕だけだろうなあ。
きっと。