一昨日、俳優の三谷昇氏の訃報を目にする。
失礼ながら、もう既に鬼籍に入っていると思っていたので、享年90歳だと聞いて、ちょっと驚いた。
三谷氏が演じる役は、総じて一癖も二癖もあるインパクトの強いものが多かった。
たとえ、出演時間が短くとも、一瞬にして、見ている者の脳裏に焼き付かせる存在感のある役者だった。
僕自身、市川崑の金田一シリーズが好きなこともあって、三谷氏と言えば、「獄門島」に出てくる傷痍軍人役が真っ先に思い浮かぶ。
- 三谷氏演じる傷痍軍人が路上で金田一と別れ、松葉杖を使って、片脚で歩いていたのも束の間、踏切音が鳴るやいなや、一目散に踏切に向かって松葉杖を抱えて走っていく。
- 踏切を渡りきったところで、汽車が通り過ぎて行くの確認し、再び、松葉杖を使って、片脚で歩いて行く。
- その始終を見ていた金田一が唖然とする。
つまり、偽の傷痍軍人を装っていたというオチ。
金田一ファンにとっては印象に残るシーンのひとつだ。
これでまた一人、昭和の"怪優"が旅立った。
ご冥福をお祈りします。