Life is very short

人生なんてあっちゅうま

老年シャドー

 

恐らく70歳は超えていたと思うのだけれど、初老の男性がジムの芝生エリアでシャドーボクシングに勤しんでいた。

 

鏡の前で、熱心にボクシングの<ワンツー>を繰り返している。

 

たまに、アッパーカットも繰り出すなど、本格的である。

 

20代ぐらいの若い子たちが、悦に浸って、シャドーをしている光景は良く目にするけれど、初老の男性となると、レアである。

 

しかし、如何せん、足腰がそんなに強くないのか、上半身の激しい動きとは対照的に足元が何となく覚束ない。

 

珍しい光景であったこともあり、若干食い入るようにその姿を見ていたら、初老の男性と目が合ってしまった。

 

そして、自分のシャドー姿を見られたのが恥ずかしかったのか、何事もなかったようにおもむろにストレッチを始めてしまった。

 

まあ、初老の男性とシャドーなんて、一見不釣り合いな気もするけれど、

 

「俺はまだまだ、こんなにも軽快に動けるぞ」

 

と、きっと自己確認したかったんだろう。

 

それにしても、ちょっと悪いことをしちゃったかな。