街中をバイクで走っていると、救急車に出くわすことがある。
どこからともなくサイレンが聞こえてくると、少し緊張感を覚える。
サイレンは自分の方に近づいているのか、それとも遠ざかっているのか、最初はそれさえもわからない。
だから、いつも初動に戸惑う。
そして、サイレンの音が段々と大きくなって、こちらの方に近づいてきたことが分かった時は、走行中ならば、左の路側帯に一時停止させる。
もしくは、交差点で進行方向の信号が<赤>から<青>になったとしても、その場に停止したままで、救急車をやり過ごす。
これはもちろん僕だけでなく、周りの自動車やバイクもやっていることなんだけれど、お互い見ず知らずの人たちが同じ行動をして、そこに僕も参加していることに何だか嬉しくなっちゃう時がある。
みんなで一致団結となって、言うなればチームプレーをやり遂げた感覚と言うべきだろうか。
「なんかいい仕事したなあ」と言う充足感で、その日一日が良い気分で過ごすことができる。
と同時に一瞬だけとはいえ、一緒にプレーをしたチームのみんなとここで別れることに一抹の寂しさを感じなくもない。
でも、サイレンの音だけは、何回経験しても慣れないもんだね。