通常、将棋のプロ棋士(四段)になるには、専門の養成機関(奨励会)に入って、最終関門である三段リーグを突破しないといけない。
それとは別にアマチュア棋士(奨励会退会者含む)や女流棋士に対してプロへの門戸を開くために、数年前、棋士編入試験制度というものが設立された。
そして、今回、この棋士編入試験制度で所定の成績を収め、プロへの切符を手にしたのだ。
棋士編入試験と言っても誰でも受けられるわけではなく、まずは将棋の公式戦でプロ棋士を相手に所定の成績を収めないと受験の権利は与えられない。
そして、その公式戦に出場するのも、アマチュア棋戦で優勝などの成績を収めないと資格を得られない。
つまり、棋士編入試験に辿り着くだけでも、いくつもの壁を乗り越えないといけないのだ。
そして、棋士編入試験では5人の試験官(プロ棋士)と対戦し、3勝をあげなければ不合格となる、とても狭き門なのである。
今回、試験に合格できたのは、本人の努力はもちろんであるが、自身でも述べていたように、ここ数年でのAI(人工知能)の著しい進化があったからこそ、この快挙は生まれた。
今や、AIの思考はプロ棋士の思考を凌駕している。
だから、プロ棋士はAIを使っての研究に余念がない。
アマチュアも同等の性能のAIを使って、勉強すれば、プロ棋士と対等に戦えるのだ。
それを今回示してくれたことは、これからあとに続こうとする者にきっと勇気を与えたことになったはずだ。
もちろん、僕も目指すものは違えど、今回たくさんの勇気をもらえた。
未開の地を開いたこの若き勇者に拍手を送りたい。