午後1時。
散髪を終え、店外に出ると、小雨がぱらついていた。
朝方、晴れていたので傘を持たずにここまで来てしまった。
駅の高架下でしばらく雨宿りをした。
ふと、見上げると、前方に立ちはだかっているマンションのベランダに何軒かふとんが干してある。
恐らく、住人は雨が降っているのに気づいていないのだろう。
ふとんが雨にさらされている。
しばらく止みそうにない。
「運と不運は紙一重」
そんなことを感じながら、カバンの中に忍ばせてあった文庫本を手に取った。