著者は元お笑い芸人。
そのためか、舞台が葬儀場にもかかわらず、随所にクスっと笑える場面がふんだんに散りばめられている。
内容はと言うと、生前、聖人君子と皆から慕われていた故人が、誤解と奇妙な偶然をきっかけに故人に恩義のある人たちから、極悪非道な人物に仕立てられてしまうお話。
登場人物の心情描写がそれぞれ独立した形で、物語は進行していく。
文章のタッチも軽くて、スラスラ読めるものの、最後のオチに関しては、いかにも強引な感じで何だか白けてしまった。
本作は<横溝正史ミステリ大賞>の受賞作だけれど、正直言って、「うーん」という感じは否めなかった。
しかし、全体的に読みやすく、元お笑い芸人もあってか、一般的なミステリー作品とはまた違った世界観で描いているので、肩肘張らずに読むには適しているかも。
著者の他の作品にも興味があるので、しばらくは追っかけてみるつもり。