街中を歩いていて、ふと見た玄関先の表札が同じ苗字だった時、何とも言い知れぬ親近感が湧いてくることがある。
「佐藤」さんや「鈴木」さんみたいにそう多くはない苗字なので、遭遇するのは稀。
今すぐにでも、チャイムを鳴らして、ひとことご挨拶を申し上げたいぐらい。
「もしかしたら、どこかで繋がっているかもしれない」
「困窮に瀕した時に訪ねて行ったら、助けてくれるかもしれない」
いろんな妄想が頭の中を駆け巡る。
様々な地域の人々が集まる、この雑多なる東京で湧き上がる束の間のオアシス的な感情。
自ずと笑みがこぼれる。